日家九星の計算方法(続2)

日家九星の計算方法について、興味深い資料を見つけましたので、ここに記しておきます。
「気学」の創始者として知られる、園田真次郎荻野地角)氏著の「干支九星閏解説:附・三合原理(大正館、昭和5年)」という書物で、国会図書館の近代デジタルライブラリーでも公開されています*1
まず、解説の前文で以下のように書物の目的を記しています*2。気学を体系として整理した園田氏から見て、陰陽二遁の原理を記した書物が殆ど存在していなかった当時の状況に対する思いが感じられます。

陰陽二遁の解説に就きましては、古来より甚だ不徹底の書類のみ頗る多くして、陰陽二遁の極意なりし、天体上の真髄に達せし説明を具体的に顕説せられし書物は殆んど皆無と言ふも過言ではありません。尤も陰陽二遁を範囲する天体上の原理に至っては頗る広汎にして一朝一夕に此説明を徹底せしめ以て陰陽二遁の元体を尽すこと能はざるが為めである。併し乍ら今爰に本館は高等科会員諸君の熱誠なる研究努力の精神に対し、一層其努力の拡充実現を期する為め陰陽二遁の原理に対し天体的根幹となる方面に向って徹底的に公明解説するのであります。偉大なる力を有する陰陽二遁の大運行を為すべき其根幹なるものが何れに確立してゐるのであるか、亦何を根拠として陰陽二遁が行はれるのであるか、其源を究むることが最も必要とするのである。(後略)

そして、本書の中では、以下のように九星置閏法を記しています。

幹枝九星の閏歳を前知するには甲の子日より癸亥の日に至る六十日間のるも(註:原文ママ)中央に位する癸巳の日と甲午の日に注目し甲子日より癸巳の日までが三十日亦甲午より癸亥の日までが三十日である。甲子日より癸巳日までの前三十日が冬至の日を越いて手前になれば幾日手前になっても之で閏ふを附せねばならぬ。夫で後三十日の始に位する甲午の日が冬至となるとか亦冬至の日より手前に這入れば之で閏ふが起ることになり、要するに後三十日の初日となる、甲午の日が冬至の日と一致するか亦は冬至の日より手前に這入るを以て置閏歳であると知れば宜しい。
夏至の節も同じく甲午の日が夏至の当日となるか亦は夏至の当日より手前に這入れば同じく閏ふを附するのであることを知るべし。
此法則たるや冬至夏至に近き甲子の日を以て陽遁上元甲子一白を起し亦陰遁上元甲子九紫を中宮に起する原則によるものである。故に甲子(註:ここは甲午が正しいと思われる)の日が冬至当日に当れば手前の甲子の日は冬至の日より三十一日手前となり冬至後の甲子の日は当日より三十日後となり一日だけ冬至の節に甲子の日が近くなるが為め三十一日手前の甲子の日を陽遁上元の始とせずして冬至より三十日後に来る甲子の日を以て陽遁上元甲子一白中宮の日と定むることになる爰に至って前の甲子の日を取らずして後の甲子の日を取り用ゆるが為め六十日間の閏ふが生ずる原因となる理由である。

端的に言えば「甲午日が二至の日当日か、それよりも前になる場合は、その直前の甲子日からの六十日間を「九星の閏」とする」ということですね。
こうしたものは、流派によって異なったりもするものではありますが、参考までに。

*1:著作権保護期間満了

*2:以降、引用部分の旧字体新字体に置き換えています